活動状況〔 研究会報告 〕

【第59回研究会】(2014年2月16日(日))

【1日目】 8月30日(金)14:00-17:30 441教室
総合司会者 奈良松範氏(諏訪東京理科大学教授)

第1報告 14:00-14:50
報告テーマ 「諏訪の産業 ―そのルーツと発展、現課題 ― 『シルク産業の歴史的発展から教訓を学ぶ 』」
報告者 五味嗣夫氏(諏訪東京理科大学教授)
討論者 吉田 敦氏(明海大学経済学部専任講師)

第2報告 15:00-15:50
報告テーマ 「マテリアルフローLCA(Life Cycle Assessment)に関する リーガルインパクト分析」
報告者 趙 小儀氏(諏訪東京理科大学大学院博士後期課程)
討論者 岩井清治氏(桜美林大学名誉教授)

第3報告 16:00-16:50
報告テーマ 「企業の歴史実例リンク ウィキの示唆するも==本邦初めてか、 wikiに乗る 企業 歴史 」
報告者 加藤 隆氏(法人会員 :リンク情報システム株式会社代表取締役 )
討論者 山田朋生氏(明海大学経済学部講師)


【2日目】 8月31日(土) 9:30-12:30 448教室
総合司会者 山内清史氏(神奈川大学国際経営研究所客員研究員)

第1報告 9:30-10:20
報告テーマ 「公的年金の第3号被保険者は不必要な制度か?」
報告者 永井攻治氏(明海大学経済学部専任講師)
討論者 辻井清吾氏(駒沢大学仏教経済研究所研究員)

第2報告 10:30-11:20
報告テーマ 「所得分類における諸問題―外れ馬券の経費性を中心として―」
報告者 本村大輔氏(日本大学大学院博士課程)
討論者 古賀昭弘氏(桜美林大学講師)

第3報告 11:30-12:20
報告テーマ 「EU新規加盟国のコーポレート・ガバナンス改革 ―連合の要求と加盟国の対応―」
報告者 明山健師氏(神奈川大学国際経営研究所客員研究員)
討論者 平田光弘氏(中央学院大学大学院特任教授・一橋大学名誉教授 ・星城大学名誉教授)



【報告要旨】(2014年6月22日(日))

【第1報告要旨】〔報告者〕石井和彦氏(株式会社ぽかぽかライフケア)
第1報告テーマ 「介護事業関連企業の企業倫理とコンプライアンス―指定取消数と虐待数に着目して―」
(報告要旨)
介護事業は非営利企業、営利企業ともに行うことができる。介護事業関連企業の中で施設運営を行っている法人の大部分は非営利法人であるが、在宅介護事業を行っているのは非営利企業と営利企業が混在している。このような特徴があるなかで、営利企業で行えるサービスは競合度の高いサービスに偏っている傾向があることや、会社法においては監査役を置かなくても株式会社を設立できることにガバナンスの問題が生じやすいことが考えられる。一方NPO法では、NPO法人の監事にも、会計やマネジメントのスキルに関する資格要件が求められていないことや、理事会を設置することは規定されていない問題がある。
介護事業関連企業における営利企業に関しては指定取消数が圧倒的に多く、コンプライアンスに問題がある。先行研究により1)居宅介護サービス事業における経営悪化、2)人材確保の難しさ、3)経営者のモラルの低下、4)過当競争、5)第三者評価制度の形骸化、6)過度に経済性と効率性を重視する、問題点が明らかになっている。
一方非営利企業は社会福祉法人を中心に、圧倒的に利用者への虐待数が多いのが特徴である。先行研究により1)合理性の欠落した組織風土によるアカウンタビリティ、2)日本における非営利企業の法律、3)個人的な関係に基づいた監事の選任、4)乏しい経営者のマネジメント経験、5)外部監査の導入が少ない、等の問題点が明らかになっている。
また、非営利・営利企業の問題どちらとも社会的企業として介護事業を行い、今後の高齢問題の解決に寄与していくことが求められている共通点が存在する。その上でガバナンスという視点が重要である。介護事業関連企業には様々な利害関係者が存在している背景もあり、ミッションを遂行する為には、価値前提の明確化が必要ではないかと考える。そのためには事業目的や信頼性を明文化し、計画を立てる必要性がある。そしてその計画が意識され計画通り実行できるかどうかの監視を行っていくことが重要であると考える。また、そのための業績評価をどのように行っていくのかも重要である。


【第2報告要旨】〔報告者〕山田 朋生氏(日本大学助教)
第2報告テーマ 「独占禁止法コンプライアンスにおける諸問題についての一考察 -主として私的独占事例を中心として-」
(報告要旨)
近年、企業内における社員の法令遵守(コンプライアンス)指導及び教育の必要性が重要視されてきている。特に、市場を介して営利を目的として経済活動をする企業にとっては、社会法に分類されている経済法、特にその中でも独占禁止法におけるコンプライアンスの周知徹底指導(教育)が、企業の社会的な命運を分けるまでの存在となっている。
それゆえ、当該企業が市場経済活動をするなかで、独占止法における問題(トラブル)に差し迫った際には、弁護士や法務部門(社内弁〔インハウス〕、担当者〔法務部門〕)の方々の手腕が要求されることになる。
本報告では、独占禁止法上の三本柱である私的独占問題の事例を中心として挙げながら、当該企業が独占禁止法コンプライアンスをもとに、今後どう取り組んでいくべきかということを考察するものである。


【第3報告要旨】〔報告者〕勅使河原由紀氏(明海大学講師)
第3報告テーマ 「不祥事を起こした企業に対する責任追及とその再発防止効果―パロマガス湯沸器事件を題材として―」
(報告要旨)
本報告では、パロマガス湯沸器事件を題材として、不祥事を起こした企業に対し責任追及することが必ずしも不祥事の再発防止に寄与しないことを指摘した上で、不祥事の再発防止を実現するために必要な対策を提言した。
事故の再発を防止するということは、事故の原因を究明し、再発防止に有効な対策を講じるということである。事故の原因を究明するためには、事故に関わるすべての情報を関係者全員から収集しなければならない。しかし、その情報によって関係者が罪に問われるとなれば、関係者は萎縮し、情報提供を躊躇するであろう。情報不足により原因を究明できず、有効な再発防止策を講じることができないため、事故は再び繰り返されることになる。従って、真に再発防止を考えるのであれば、責任追及と原因究明とを峻別し、関係者が萎縮することなく事故原因の究明に必要な情報を提供できるような体制を構築すべきであろう。例えば、中立性・独立性の高い専門的な調査機関を設け、同機関で収集された情報については、専ら事故原因の究明及び再発防止策の策定のみに利用できるものとし、証拠能力がないものとみなしてはどうか。その一方で、責任追及以外の方法で被害者の心情に配慮する方法を模索すべきであろう。例えば、企業不祥事により被害者に生じた損害を填補し、同被害者の心情をカウンセリング等で緩和することを目的とする保険制度の創設を検討してはどうか。